ノマド・ジュンのねはんスタジオ

アートと思索の日々への回帰 ノマドとは知と信を求めてさすらう旅人 ねはんは涅槃で寝半 
<< February 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 >>
<< 庄内・山形紀行(土門拳と宗教性) | main | 年金はどうなっちゃうんだワン >>
# 「摂食障害病棟」 小谷と由美の葛藤
このところ小谷と由美は面接のなかでずっとやり合っていた。
小谷もあせり、由美も得体の知れないイライラ、ソワソワにさいなまれていた。

「先生、チューブいつ抜いてくれるんですか?」

「まだまだ、ダメだよ。体力回復してないだろ」

「大丈夫。ずっとこのくらいの体重でやって来た。これ以上重くなったら、だるくて動けないし、第一、わたしじゃなくなっちゃう」

「ダメダメ。もっと体力に余裕をつけなきゃ。少しお腹こわして下痢しただけで、もう少しで死んじゃうところだったんだよ。入院前のこと覚えているかい? わかるだろ。食べて体重を増やさなきゃ、チューブは抜いてあげられない」

「でも、太るとわたしじゃなくなっちゃう」

「変わらなきゃ。自分を変えるんだ。いや、変えるんじゃなくて自分を取り戻すんだ」

「取り戻す?」

「そうだよ。ずっと以前の君はこうじゃなかっただろ」

 小谷は由美の目をのぞきこみながら語りかけた。

 
由美は、小谷の目をのぞき返した。

「ずっと以前っていつなんですか?」

 小谷の目にわずかに戸惑いの色が浮かんだ。
由美は、小谷が何もわかってないんじゃないか、と疑っていた。(小谷の言っていることは逆なんじゃないのか。自分はたぶん今の自分を変えないために吐いている)由美はそう思った。


「わたし、どうでもいいんだけど、生んでくれって頼んだ覚えはないんです。だから死んじゃってもいいの」

「私も母親に生んでくれって頼んだ覚えはないぞ」

「・・・」

 小谷は、由美の目をもう一度鋭くのぞき込んだ。

拒食症の子たちは太って体重を戻すことに大きな抵抗を示す。
ちょうどよい体重以上に太らないなら問題はないが、
30〜35堋度で抵抗を示し始めることも多い。

明らかにまだ体はまだ危ない状態なのだが、
ここで「太らない」ことにこだわるのは、
彼女たちの存在をかけた大きな意味があるはずである。


 
| comments(0) | trackbacks(1) | 17:26 | category: 「摂食障害病棟」ノート |
# スポンサーサイト
| - | - | 17:26 | category: - |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック機能は終了しました。
トラックバック
拒食症と過食症のプロが徹底的にアドバイス!
薬を毎日飲まなくても、カウンセリングに頼らなくても、拒食症や過食症は、自宅で根本から克服できるのです。
| 拒食症・過食症改善プログラム | 2011/10/17 7:12 AM |
Archives
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
参加中
人気ブログランキングへ.

人気ブログランキングへ
Search this site
Sponsored Links