ノマド・ジュンのねはんスタジオ

アートと思索の日々への回帰 ノマドとは知と信を求めてさすらう旅人 ねはんは涅槃で寝半 
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# 役者が出そろったうつ病治療薬
 くすりの話をもう少し(薬剤名は商品名)。

新世代のうつ病治療薬の登場でほぼこの10年でうつ病への
取り組みは画期的に変わった。

1999年従来日本にはなかった新しいタイプのうつ病治療薬SSRI
(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)ルボックス・デプロメールが登場する。
(詳しい機序は機会があればいずれ説明)
当時の藤沢薬品の医療者向けプロモーション映像には私も登場。

軽い吐き気はあるものの、従来のうつ病治療薬に広く認められ
日常活動に大きな支障をきたしていた眠気や倦怠感がほとん起きない新薬。
この薬の登場とともにプライマリケア医もどんどんうつ病を扱うべし
という啓発も強まる。

このあとSSRIのパキシル、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン双方に効果)
のトレドミン、SSRIのジェイゾロフト、従来型の味付けのリフレックス・レメロン、
SNRIのサインバルタ、そして今夏のSSRIレクサプロの登場で
とりあえず役者が出そろった感がある。

これらの新薬の登場に伴いうつ病の概念にも変化が起きたといえる。
うつ病と不安障害(社会不安障害やパニック障害)の境界が不鮮明になってきた。
不安障害の症状はいうまでもなく不安・緊張や焦燥などである。
うつ病の中核症状は憂うつ感、活力低下、興味の喪失などだが、
不安・焦燥などを訴えることも多い。
SSRIなどの新薬は不安・緊張には大きな効果が見込めるが、
どちらかといえば中核症状には薬理的にも過大な効果は見込みにくい。

このことでやや診療現場に混乱が生じているように見受けられる。
従来薬も含めそれぞれ優れたくすりだが、その特徴の見極めが必要だろう。
これらについての以下のことは私の個人的な感想としてお聞き願いたい。

新薬の中でリフレックス・レメロンは薬理的にも中核症状に効果が
大いに期待できるし、臨床的印象もその通りだ。ただ、副作用も従来型。

SSRIはセロトニンへの圧倒的な選択性は共通だが、微妙な味付けによって
隠し味に若干の違いがあり、使い分けると威力が倍増する。

ルボックス・デプロメールは根強いファンもあり、総合力はあるが、
歴史的役割は終えているかもしれない。
しかし、うまくいっているケースで切り替えの必要はない。

レクサプロは一番生粋のSSRIで隠し味なし。
新しいくすりなので臨床評価はこれから。

パキシルはノルアドへの微妙な関わりによって生体活性にも影響を及ぼし、
メキメキとなたで割るような粗さと強さが同居する印象。

ジェイゾロフトは安全装置つきの剃刀といった風情があり、
ドーパミンもわずかに動かすためか、ふわーっとハッピードラッグ的な
味わいも持つ印象。

SNRIについては、トレドミンは総合力があり安全れ優れたくすりだが、
やはり歴史的役割は終えているか。安全性に高評価。

サインバルタについては、力を十分に反映していないと思われる
大規模調査が出回ったり、やや残念な状況もあるが、実力は高い。

これらは私の個人的な感想であることはもう一度断っておく。
問題はプライマリケアの先生方が自分の感触を持ち切れない状態で
熾烈なシェア争いが繰り広げられていることだ。

うつ病や不安障害などストレス性の障害は増加するばかりだ。
くすりだけでは対応できないケースはたしかに多いが、
くすりでよい方向に向くことも少なくはない。
医療者である限りこのことは真摯に受け止め洞察を深めてゆきたい。
| comments(0) | trackbacks(1) | 17:08 | category: メンタルコラム |
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| 過食症 治療 | 2011/10/02 10:13 AM |
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